大学入学や再開の前に、人生経験と自信を得るためにギャップイヤーを取るベトナムの若者が増えている。
チャン・ミン・バックさん(Tran Minh Bach)は、「親のお金を無駄にしたくない」という理由で、友人たちよりも1年遅れでホーチミン市国際大学 (VNU-HCM/International University)に入学することを決めた。
現在1年生のバックさんは、「授業料は年間約3億2,000万VND(約157万円)で公立大学の10~20倍もするのに、途中で挫折してしまうのではと不安を感じた」という。
悩んだ末、「自信を持って大学に進学できるよう入学前の1年間は英語などのスキルアップに費やしたい」と両親に頼んだ。さらに自分が何を好きなのか考える時間にしたかったとも話す。
バックさんはこの期間にIELTSで6.5点を取るために英語力の勉強に勤しんだ。また、カフェでアルバイトをしたり靴や服を売ったりして、両親に資金援助を頼まなくても済むようにした。
「明確な目標があったからこそ、迷うこともなかったし、仕事に対する忍耐力も身についた。また、知り合いの優秀な人たちから多く学べたことを誇りに思います」と経験を語ってくれた。
ハノイのホアン・ズンさん(Hoang Dung)も大学で2年間学んだあとに、自分が何に向いているのか、何をするのが好きなのかを考え、新しい仕事や場所を経験するためにギャップイヤーを選んだ。
ズンさんはギャップイヤーの間、翻訳者として働き、その後2019年に教育、自動車、保険の営業をした。当初は月収200万VND(約9,800円)だったが、2020年末には月収5,200USD(約58万円)であることをSNSで明かし注目を集めた。
多くの仕事をこなしてきたズンさんは実践的な経験が学習に役立つことを知り、働けば働くほど学ぶ意欲が湧いてくるという。
2020年に復学し卒業した現在、学生の採用やキャリア指導を行う会社のCEOを務めている。さらに1日に4時間もの時間を費やして新しい知識を学び、時にはベトナムの有名なビジネスパーソンの講座を有料で受講しスキルアップをしている。
「結局、ギャップイヤーは無駄なものではなく人生を加速させるための準備なのです」と語った。
ギャップイヤーが人気を集める理由のひとつは、若者の間で自立への意識が高まっていることだ。
ブリティッシュ・カウンシル(British Council)が2020年8月に16歳から30歳までのベトナム人の若者1,200人を対象に行った調査によると、約4割の人が、自分があまり興味を示さない特定の分野で勉強や仕事をするように、家族から強いられていると感じていることが分かった。
しかし、ギャップイヤーは「諸刃の剣」であり、若者が学校を辞める口実に使って、時間を無駄にしたり、教育へのモチベーションを失ったりする可能性があるとホアセン大学(Hoa Sen University)の元副学長で、ユタ大学やベトナムのいくつかの大学で講師を務めている チュオン・グエン・タン教授(Truong Nguyen Thanh)は警告している。
「大学院に進学する前にギャップイヤーを取った学生の90%は戻ってきませんでした。学部の授業を受ける前にギャップイヤーを取った人は、人生の目的がはっきりせず、勉強の習慣を失ってしまう可能性があるため、より高いリスクに直面しています」と語っている。
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