和紙作りは一日で、というわけにはいかない。一枚の薄い紙からは想像しえないような、いくつもの工程を経て作られている。今回は埼玉県・細川紙の作り方を見てみよう。
1. 楮の収穫
収穫時期は11月下旬〜1月。幹の部分だけを使うので、枝はきれいに取り除く。
2. 蒸す
楮を釜に入れ、2時間程度蒸し、木の皮をやわらかくする。
3. 皮をむく
蒸した楮がさめないうちに、一本一本ていねいに皮をむく。和紙は外皮の裏についている、靭皮の部分を使う。むいた皮は乾燥させ、保管しておく。
4. 皮晒し
乾燥しておいた皮を再び煮込んでやわらかくし、表面の皮や不純物を取り除くために川の水に晒す。
5. 皮を削ぐ
楮引(Kazuhiki)包丁で(※埼玉の方では、楮のことを「かず」とも呼ぶ)表面の黒皮を削ぎ、白皮にする。黄色っぽい皮を残すと温かみのある色の紙ができ、真っ白になるまで削ぐと純白の紙ができる。
6. 煮る/ちり取り
白皮を石灰や木灰などといっしょに煮込み、不純物を煮溶かす。煮た皮は水に晒し、まだ残っている小さなチリやゴミなどを丁寧に取り除く。美しい和紙に仕上げるための、大切な作業。
7. 叩く/ほぐす
皮を叩いて繊維を細かくほぐす。現在は機械でやるところも多いが、昔は木槌などを使い手作業で行っていた。
8. 材料を混ぜる
ほぐした楮と、水、トロロアオイという植物の根からとれる、粘りのある液を混ぜる。「ねり」と呼ばれる、繊維同士をつなぐ役割をしてくれる。
9. 漉く
漉き舟の中で簀桁を揺らし、紙を漉く。漉いた紙は、湿った紙という意味の「湿紙」と呼び、一枚ずつ重ねてゆく。重ねた紙の束は、紙の床という意味の「紙床」、または「かんだ」と呼ばれる。
10. 脱水・乾燥
紙床に重しを乗せたり、機械などを使い、脱水をする。水分が抜けてカチカチになった湿紙を一枚ずつはがし、乾燥用の鉄板にはりつけていく。天日で干すところもあるが、かなり時間がかかるため、現代では鉄板を使用するところが多い。
11. 検品
穴や破れ、ゴミがないかどうか、正しい厚みかどうかをチェックする。光に透かしながらの作業になるので、必ず昼間に行う。
産地によって、工程や道具の呼び名が違います。漉くときの縦に揺らす回数、横に揺らす回数によって、紙の質が変わってくるんですよ。
SENDA MAYU/ kilala.vn