髪の寄付でがん患者をサポート

投稿: KilalaJul 21, 2022

乳がんネットワークベトナム(BCNV/Breast Cancer Network Vietnam)は、髪を寄付したい人たちと治療で髪を失った乳がん患者をつないできた。
今年4月までに、がん患者さんの精神的なサポートプログラム「Hair Library」には11,000人以上の寄付者が集まり、1,000セットのヘアドネーションががん患者さんに贈られた。

寄付されたウィッグをつけ喜ぶがん患者 ⓒ VietnamNews

寄付されたウィッグをつけ喜ぶがん患者 ⓒ VietnamNews

乳がん患者は病気や治療による苦痛だけでなく、胸や髪を失うことで心に大きな傷を負っている。
BCNVの創設者であるトゥーン・ソビーさん(Thuong Sobey)は、「がんを患った私は化学療法後に髪を失い、皮膚はしわができ黒ずみ、顔は青白く、痩せてしまい、極度の疲労を感じるようになりました。乳がんは私の寿命を縮めるだけでなく、人間として最も貴重な20年間を奪いました」と自身の経験を語る。

この活動に賛同したひとりであるラン・フォーンさん(Lan Huong/22歳)は、日本留学中に母親の乳がんを知った。
「留学を一時中断して帰国し、化学療法と放射線療法を受ける母に付き添いました。母の髪が抜け、暑い中でもカツラをかぶり疲れている姿を見て、女性が自分の容姿に自信をなくす気持ちがよくわかりました。その劣等感は治療結果やその後の人生にも影響を及ぼします」と話す。

ハノイ出身のチュオン・ダイさん(Trong Dai/23歳)は、がん患者を専門に治療するK病院に親戚を訪ねた際、ヘアドネーションに参加しよう決心した。
寄付するのに十分な長さになるまでの27カ月間、彼は髪を大事にしていたが、その姿に否定的な意見に直面したという。

がん患者に寄付するために髪を伸ばし寄付をしたチュオン・ダイさん ⓒ VietnamNews

がん患者に寄付するために髪を伸ばしたチュオン・ダイさん ⓒ VietnamNews

大学4年のフエン・チャンさん(Huyen Trang)は、この4年間、長い髪をいつも大事にしてきたが、「Hair Library」について知ったとき迷わず髪を短く切った。
「サラサラの長い黒髪は私のトレードマークだったので、髪を切ったときは周囲の人に説明しなければなりませんでした。しかし幸いなことにその後、多くの人が髪を提供したいと言ってくれるようになりました。適切な人に渡せば、髪はもっと美しくなると思うんです」という。

髪を提供する人たちには、自分の髪ががん患者の日々の苦しみを少しでも和らげ、喜びを与えることができればという思いが共通している。

BCNVによるがん患者への精神的なサポート「Hair Library」

「Hair Library」は2015年に開始され、寄付された本物の髪で作られたウィッグを無料で提供している。
髪を受け取ったBCNVとボランティアチームは基準に沿って選別・準備をする。適した髪は工房に送られ、ウィッグに手作業で加工される。1セット作るのに20時間かかることもある。

これは同国で初めてのヘアドネーションモデルであるため、活動は常に更新され年々改善されている。
現在、BCNVには1日に80~100件の寄付が寄せられている。

病院に「Hair Library」が設置されると、1週間以内にほぼすべて患者さんにウィッグが渡る仕組みがつくられている。また、がん患者はBCNVのホームページの登録フォームからウィッグの提供を申し込むことができる。

化学療法で髪を失ったがん患者は、いつもと違う姿にショックを受け多くの人が自信をなくしてしまう。
贈られた髪は彼らに力を与え、どんな状況でも自分には美しく自分を愛する権利があるのだという信念を与えてくれるのものとなっている。

〈VietnamNews〉
※これらのニュースは各ソースを参考に記事を編集・制作しています。

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