30歳のファム・トゥン・ラムさん(トゥードゥック市在住)は、SNS上において「ラム・オン・フック(Lam Ong Huc)」の名で広く知られるボランティア活動家だ。この1カ月以上毎日、ホーチミン市内を走り回り、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で困っている人たちにパンや牛乳、マスクなどを「贈って」いる。(ラムさんは配るという言葉は使わず、「贈る」という)。
この日々の活動はTikTokの「Lam Ong Huc」で見ることができる。人々としゃべるだけのシンプルな動画だが、ラムさんの優しさや誠実さが伝わってくる動画でかなりの人気と注目を集めている。
活動には細心の注意を払い、保健相が提唱する「5K(マスク、消毒、ソーシャルディスタンス、密にならない、健康申告)」を厳守し、部屋を借りて自己隔離も行っている。しかし、個人的なボランティア活動のため外出許可書を持つことができず、警察の取り締まりや検問では自身の活動内容動画を見せて説明しながら「贈る」活動を続けている。
ラムさんがこのボランティア活動を始めるきっかけとなったのは祖父(70歳)の経験だった。ゴーバップ区に住むラムさんの祖父は、7月4日、外出したまま行方不明になってしまった。数日間の捜索後、無事に見つかった祖父にラムさんはどのように生活をしていたのか尋ねると、祖父は知らない人から食事とお金をもらい軒下で寝かせてもらっていという。ラムさんはこの見知らぬ恩人への感謝と祖父を探しているときに目にしたホームレスの姿に心を動かされ、困窮する人々やホームレスの支援を始めることにしたという。