技能実習生として来日するベトナム人労働者は最低賃金で転職もできない。
ダナン大学教育学部を優秀な成績で卒業したにもかかわらず、中部高原地方ダクラク省出身のファン・ヴァン・フイさん(Phan Van Huy/34歳)は、ベトナムで仕事を見つけることができなかった。
フイさんは最高月給700万ドン(約3万9000円)の3つの会社で働いた後、海外で働くことを決意した。
ホーチミン市の送り出し機関LABOUR AND EXPERT EXPORT SERVICE JOINT STOCK COMPANY (SULECO)を通じて溶接の技能実習生として来日した。
出国するまでに研修費、宿泊費、語学学習費などで2億ドン(約111万円)以上借りたという。
大阪の会社に採用され、日本の労働組合を通じて栃木県に派遣された。時給は地域の最低賃金である877円だった。
日本政府が最低賃金を調整した結果、3年目には時給963円となった。
実習生は、傷害保険、医療保険、社会保険、雇用保険、研修生保険に加入するため、毎月基本給の約20%が差し引かれるうえに税金、家賃、食費、組合費も差し引かれる。
毎月2000万〜2700万ドン(約11万~15万円)の余剰金があれば、借金を返したり、故郷の家族に仕送りをすることができたが、最初の1年間は朝晩インスタントラーメンを食べるだけの生活となった。
3年で帰国する予定だったが2年の延長を申請し基本時給1000円となった。
5年間の実習生生活の後、職業能力証明書を取得するための試験を受け、特定技能者として在留を続けている。そんなフイさんの現在の時給は1150円である。
6年以上の経験を持つ一般の溶接工の時給が1300〜1700円であるのに対し、実習生の最初の5年間は見習い期間とみなされるため時給が低いという。
実習生の仕事とは
3年間、実習生として働きで2020年に帰国し、『Toi Di Nhat(私は日本へ行った)』という本を書いたファン・ヴエット・アインさん(Phan Viet Anh)は、この制度の実態を次のように述べている。
理論上の技能実習生制度とは日本で実習を重ね知識や技術を身に着け帰国後に活かしてもらう制度であるが、実際の実習生の仕事内容はショベルカーの運転、検品、土の圧縮...など、健康や体力を必要とする簡単なものばかりだ。
しかも技術や機械の互換性もないため、帰国した実習生が自国で仕事を見つけるのは難しい。
「結局、一番苦しんでいるのは実習生として渡ったベトナム人なんです」とアインさんは話す。
日本での収入と地下労働
ベトナム人実習生は労働条件も厳しく転職も許されない。
そのため、多くの実習生は収入を増やすために、他の企業で「地下労働」をすることになる。
送り出し機関SULECOの市場開発部の副部長は、多くの人が日本への実習生制度に申し込むのは学位の要件がなく幅広い職業から選べることが理由です。
資格や技能がほとんど必要ないため、受け入れ企業は地域の最低額しか払いません。保険や手数料を引いて1カ月当たり約2000万ドン(約11万円)の収入になりますが、この制度の欠点は働いている会社が倒産する以外に転職を許されないことですと話す。
ベトナムは今年、9万人の労働者を海外に送り出す予定である。現時点で日本は実習生を中心に約6万人、次いで台湾が約1万3000人、韓国が約7000人、その他オーストラリアやカナダなどにベトナム人労働者がいる。
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