ディン・グエン・ホアン・トゥさん(Dinh Nguyen Hoang Thu)は実家のケーキ工房でパン職人として働いていたが、がんを患う祖父のために機能性食品を研究するうちに、藻類から作られる栄養補助食品のスピルリナと出会った。
祖父の健康状態が改善されるのを見て、スピルリナの魅力に取りつかれた彼女は自宅でスピルリナを作る方法を研究し始めた。
スピルリナとは約30億年前に誕生し、高温・強アルカリという環境で育つ生命力の強い「藻」でバランスに優れた栄養成分等が注目されて幅広い分野で利用されている。
自家製スピルリナ
経営学や生物学、食に関する知識があり自信を持っていた彼女はまずは日本のスピルリナ栽培を調べて、どうすればベトナムで使えるかを考えた。
自宅のテラスをスピルリナ実験室にし、最終的にはOCP(open-close-plus)と呼ばれる独自の生産方式を開発した。スピルリナの栽培は非常に難しく環境と温度が完璧でなければならない。
また、中国やインドの安価な製品との競争にさらされる中、お客さまに納得していただけるような価格設定にも苦労したという。
最終的に流通網を整え小さなマーケットでも販売できるようにして「SpiDana」ブランドとして評判を高めていった。
2019年にはスピルリナ栽培センターViet Sun High-tech Cooperativeを設立し、栄養素を保持するために収穫後すぐに凍結乾燥するプロセスを用いて、高品質で新鮮なスピルリナを生産できる施設を整えた。
施設内ではスピルリナを使ったケーキや菓子も製造している。
これらのフリーズドライスピルリナは、2019年にダナン市の典型的な農村工業製品、2020年に同市の4つ星OCOP(One Commune -One Product)製品、2021年にダナン市の商業製品と認定された。
さらにTuoi Tre Golf Tournament for Start-ups 2022プログラムにおいて、国内のトップ・スタートアップ30社にリストアップされた。
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