アメリカの精神科医アーサー・ブレグマ(Arthur Bregma)博士は、人によって程度の差はあるものの、ワクチンの有無に関わらず新型コロナウイルスへの感染を恐れるあまり、いつまでたっても自宅から足を踏み出せない症状を正式な医学用語ではないが「洞穴症候群(ケイブ・シンドローム)」と呼んでいる。
ベトナムでも徐々に制限が解除されていく中で通常の生活に戻りたくないと思っている人もいる。
フェイスブック上では、多くのホワイトカラーが消極的な意見を述べている。
ハノイでグラフィックデザイナーをしているグエン・バオ・アイン(Nguyen Bao Anh)さんは、コロナ以前、毎朝1時間近くかけてシャワーを浴び、化粧をし、髪を整え、完璧な服で身をまとい出勤していた。
しかし、社会的な距離を置くという規制を守り数カ月間家にいた彼女は、起きて化粧もせず着心地の良い服を着てノートパソコンの前に座ることに慣れきってしまった。
仕事柄テレワークで作業をこなすことができ仕事に支障はなかったし、むしろ自分のリズムで作業ができ生産性が向上した。
そのため、会社からオフィスに戻るようにと連絡を受けたときは、平日に家族と料理をしてランチを楽しむことができなくなることが悲しくなり、以前のように朝から身支度し通勤に時間をかけなくてはいけないことに戸惑いを感じた。彼女はワクチン完全接種を終えているが今の生活スタイルが心地よく、外に出ることを渋っている。
ITプログラマーをしているデュックさんは、「来月から完全に予防接種を受けた場合、雇用主は平日にオフィスで働くことを要求してくるので、自宅で仕事ができる新しいフリーランスの仕事を探しました」と話す。
また、多くの地方や都市では、いまだにコロナが猛威を振るっているため、多くの人々が外出を恐れている。
震源地であるホーチミン市の8区に住むチャン・コン・ダン(Tran Cong Danh)さんは、感染を恐れて友人と会ったり、すぐに旅行に行ったりする予定はないという。
デルタ型はまだ広がっており、脅威であることに変わりはありません。私はワクチンを1回しか打っておらず、まだ重症化する可能性があります。市が社会的距離を緩和した場合、買い物に行くことが本当にリスクに見合うかどうか考えさせられると話す。
ハノイ市ハイバーチュン区に住むザー・リン(Gia Linh)さんも同様に、ワクチン接種の有無にかかわらず人との付き合いを再開することに「不安」を感じているという。
国がワクチン接種を促進しているが、毎日の新規感染者数は減っていませんし、再開したからといってウイルスの脅威がなくなり安全になるわけではありませんと話している。
何カ月も家の中に閉じこもっていた結果、社会生活に復帰することへの気まずさや不安を考えるだけで精神をすり減らす人もいる。
ベトナム市場調査&マーケットリサーチ(Q&Me Vietnam Market Research)によると、規制解除後、80%の回答者がリモートワークを期待し、20%は完全に自宅で仕事をしたいと考えている。
特に若者は、リモートワークを永続的に行いたいと考えており、新たなスタイルを模索する機会となっている。
人材サービス会社アデコ(Adeco)は、職場に戻ることを楽しみにしているZ世代は4%に満たないと発表している。
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