トゥー・クインさん(Thu Quynh)は、バイクで通勤する前に必ず日焼け止めを塗り、足首まで覆う服を着て、サングラス、長い手袋、マスクを身につける。
毎日5キロの通勤路で太陽は最大の敵だという。このような服装が視界を遮り運転に影響を与えることは分かってはいるが、彼女にとって肌はとても大切なので日焼け防止用の服を着ることは譲れずに運転するときは気をつけるしかないという。
ホーチミン市1区のホアン・ティ・ホアさん(Hoang Thi Hoa/32歳)は、日除け対策として着ていたロングパーカーが後輪に巻き込まれ大怪我をした。
彼女は2019年の夏の日、誰もいない道路を運転していたところ、突然後方に引っ張られ転倒し道路に頭を打ちつけた。
通行人がバイクの車輪に絡まった服をを切ろうと叫び合っているのを聞いて初めて何が起きたか気づいたと振り返る。
それから彼女はズボンを履いて出勤し、会社のトイレでスカートに着替えている。
傷跡を見るともう日焼け防止用の服装は着ないという思いになりますと話す。
彼女たちのように頭からつま先まで衣服で覆いバイクを運転する女性は「ニンジャリード」と呼ばれている。
日焼け防止対策としてマスクやサングラス、手袋、全身を覆う服を着用するその姿が忍者のようであり、また多くの女性に好まれているスクーターがホンダのLeadであるためこのような造語が生まれた。
視界や行動、判断力が鈍るため、しばしば周りのドライバーをヒヤリとさせる運転を行うこともある。
マスク、ロングパーカー、サングラス、手袋、巻きスカートなどは、白い肌を維持するために多くの女性にとって運転時に欠かせないアイテムとなっている。
しかし、この極端な対策が実は多くの事故を引き起こしている。
Viet Duc交通研究センターのディレクターによると、このようなニンジャ服を着て運転していると道路上での反応速度が低下し事故の危険性が高まりますと話す。
ハノイの交通警察第6チームは、この夏だけでこのような服装が原因の事故を6件扱った。
衣服が絡まり、ドライバーが主要道路で突然転倒した場合、大型トラックや乗用車と接触し重大な事故になる可能性があるという。
タインホア省のグエン・ティ・オアンさん(Nguyen Thi Oanh/28歳)は、4月末に妹を交通事故で失った。
彼女の妹は全身を覆う服装をしていたため視界と動きが制限され転倒してしまった。
事故後、彼女は家族にバイクに乗るときはこのような服を着用しないよう常に注意を促している。
さらに「丈の長い服が車輪の近くで風になびいているのを見かけると声をかけて注意をしています。感謝されることもあれば、変な顔をされることもあります」と話す。
ファッション・アクセサリー
このような日焼け防止グッズは、もはや当たり前となりファッションの一部となっている。
衣料品店の販売員、グエン・ティ・ビンさん(Nguyen Thi Binh)によると、日焼け止めグッズは今やファッションアクセサリーのようなものです。
異なるスタイルや素材のものを2~3着買って組み合わせて使います。お客さんからは車輪に絡まりそうだとか、運転の邪魔になりそうだとか、そういうことは聞かれないと話す。
彼女は1日に7~10枚を90,000ドン(約530円)から200,000ドン(約1,200円)の値段で売っている。
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