定年退職の年齢が段階的に引き上げられているベトナムで、年金受給開始前でも早期退職を希望する労働者が多くなっている。
現在の制度は原則として男性60歳以上、女性55歳以上で保険料納付期間が20年を超える場合に給付対象となる。
在職中に社会保険料を積み立てた労働者で、期間が20年未満且つ退職後も1年以上にわたり社会保険料を納付しなかった場合、自ら希望すれば定年を待たずに一時金を受け取ることができる。年金の一時金は納付期間に基づいて算出される。
しかし、政府は労働者が年金を受けるために社会保険料の納付年数を現在の20年から15年に短縮することを示唆している。
製造業で働く多くの労働者は、社会保険料の納付年数を短縮する提案に乗り気ではなく、早期退職を希望している。
グエン・ミン・ガさん(Nguyen Minh Ga/52歳)は、現在の仕事量に耐えられず、15年間務めた会社を年末に辞める予定だ。
ガさんと彼女の夫は、トゥードゥックにある日本の電気モーターメーカーNIDEC SANKYO VIETNAMに勤めている。
最近のシフト変更で午後7時から翌日の午前4時半まで夜勤、その後午前7時まで残業して1日12時間、夫婦で月2500万ドン(約14万5000円)の収入となる。
15年前からこのような生活を続けている。NIDEC SANKYO VIETNAMに勤めようと決めたのは残業が多いという理由だった。
若いころは体力があったが年をとって手足も目も悪くなってついていけませんという。
1日中立ちっぱなしで彼女の足は頻繁に腫れ、静脈瘤の兆候が見られるようになり長時間の労働は不可能になった。
現在の規定では、ガさんはあと5年、夫はあと10年で定年を迎えるが「それは長すぎる」と感じている。
そこで、ガさんたちは早期退職し年金を一括で受け取ることにした。この約2億ドン(約116万円)の資金で、故郷のカマウに家を建てエビを育てて生活する予定だ。
製造業の労働は通常40〜45歳までに適した仕事とされている。同社では高齢者は健康に適した単純労働を、能力のある人は管理職になることができる。
しかし、仕事量や労働時間に耐えられないと退職を選択する人も少なくない。
このようなケースは同社において珍しいことではない。
同社の労働組合長は、社会保険料の納付年数を現在の20年から15年、あるいは10年に短縮する政府の案について、労働者は「不安と不確実性」を感じているという。
政府は労働者の転職を支援したり、新しい仕事を紹介したりするプログラムを設けるべきであり、企業には40歳以上の労働者を雇用する見返りを与えるべきであると述べている。
また、ホーチミン市労働連合会の法律政策部の部長は、特に製造業において他の労働者グループの労働年齢と定年は10~20年の差がある可能性があると指摘する。
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