多くの国で不眠症が一般化し、睡眠産業「スリープノミクス(sleeponomics)」市場が発展している。
ベトナムのマットレスの新興企業によると、健康や睡眠の質に関心を持つ人が増えたため新型コロナ流行のピーク時でさえ、収益は250〜290%増加したという。
化粧水や睡眠導入剤の市場もわずかではあるが成長した。
英国市場調査会社ユーロモニター(Euromonitor)によると、2019年には薬物依存のリスクへの懸念から市販の睡眠導入剤の売上が鈍化したが、伝統的な睡眠導入剤やハーブの睡眠導入剤は盛んになった。
また、睡眠を改善する健康的な方法として、瞑想やヨガのクラスが急速に普及している。
ハノイのハイバーチュン区で3年前から瞑想教室を開いている人によると、生徒の数は増えており多くは若い大人の22歳から40歳まででストレス、疲労、不眠症に悩まされているという。
市場調査会社Wakefield Researchが2019年に行った8カ国での調査では、ベトナムの成人の37%が必要な睡眠時間を下回っており、多くの人が睡眠時間を確保するためだけに休みを取っていることがわかった。
約79%が「休む時間がない」と答え、平均的なサラリーマンは年間10日間を補填に費やしていた。
2019年にホーチミン市で行われた睡眠障害に関する調査では、人口の33%が不眠症の多くの症状のいずれかに苦しんでおり、不眠症の30%が後に精神疾患と関連していることが判明した。
大学医療センター・ホーチミンの医師によると、不眠症の治療を受けに来る患者は15パーセント。また、35~40パーセントの患者は他の理由で訪れた後に不眠症と診断されるという。
睡眠障害はサラリーマンだけでなく、フリーランスや主婦にも影響がある。さらには多くの子どもたちも睡眠不足に悩まされている。
2018年初めにホーチミン市の高校生グループが行った調査では、高校生の睡眠不足が憂慮すべきレベルであることが判明した。
調査対象となった7,300人の学生の半数以上が通常午後11時以降に眠り、20%が午前0時以降に眠り、学校に間に合うように5時半から6時に起床していた。
80%以上が1日7時間未満しか眠らないことが多く、10%が5時間未満しか眠っていない。
さらには睡眠不足によって人の命までが危険にさらされている。
2019年の国家交通安全委員会の統計では、睡眠に関連する交通事故が1年間の総件数の30%を占め、6,400人の命が奪われ、1090億ドル(約14兆5850億円)相当の損失(物的損害を除く)が発生している。
この現象は国民の人的資源を侵食しているといえる。
現代のベトナム人は仕事のプレッシャーや生活習慣の乱れ、コンピューターの使い過ぎなどの社会的問題から頻繁に睡眠不足に陥っている。
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