生活の向上と文化的価値の保存に貢献する農村観光

人口の約65.6％が農村部に居住し、静かな自然景観と独特の文化的・歴史的価値を持つベトナムは、農村観光の発展において有利な条件をもっている。

農村観光には現在、地域密着型観光、農業観光、エコツーリズムの3つのタイプがある。
農村にはそれぞれ独特の文化があり、伝統的な民俗行事や工芸品の村があり、これらは国内外の旅行者にとって魅力的な農村観光を発展させるための非常に重要な基盤となる。

世界観光機関（WTO）の統計によると、農村観光とエコロジー観光は世界の観光部門の約10％を占め、年間約300億ドル（約3兆5760億円）の収益を上げている。
農村観光の年間成長率は10〜30％であるのに対し、一般的な観光のそれはわずか4％である。

現在、多くの旅行会社が農村観光ツアーを企画し、ベトナムの農村の特徴を持つ空間、風景、文化環境が揃っている農業生産地に観光客を連れてきている。
ツアー内容は、地元のハーブを使ったヘルスケアサービス、伝統的なお祭りへの参加、特産品の試食、写真撮影など多様化し創造的になっている。

さらに、農村観光の発展は、農村の職業の多様化、地域住民の雇用と収入の創出、伝統的文化価値の保存と促進、地域社会の物質的・精神的生活の向上、持続可能な農村の構築という国家目標への貢献など、社会経済的利益を多くの地方にもたらすことにつながる。

このことから農村観光への投資は、多面的な価値を持つ産業であり、発展すれば地域の農産物の価値も向上するため、多くのメリットが見込まれる。

しかし、このような地方の観光をさらに発展させるためには、集中的な投資が必要で、新農村開発に関する国家目標プログラムの活用が必要である。
さらにデジタル変換、能力向上、農民のための環境整備などに投資が要るという。

政府の後押し

農村観光を強化するため、農業農村開発省と文化スポーツ観光省が設計した2021-2025年の新しい農村開発に伴う農村観光とサービスの開発に関するプロジェクトが首相に承認された。

このプロジェクトでは2021-2025年の具体的な目標として、省・市に最低1つの農村観光地が認定されること、農村観光サービス事業所の50％が基準を満たすこと、3つ星以上のOCOP（One Commune One Product）基準を満たす農村観光地の少なくとも50％がデジタル化、通信環境、デジタル技術によるプロモーションを行うことをあげている。

目標を達成するためには、農村観光開発に関する政策の見直し・完成、農村観光開発のための資源の動員・有効活用、農村観光に関する意識の向上も必要であるとされる。