ベトナムは2021年にエビの輸出で約40億ドル(約4600億円)に達し、世界第2位のエビ輸出国となった。
しかし、徐々に弱点が明らかになり国際市場で大手競合他社に対抗することが難しくなっている。
米国、EUでブレイク
水産総局(農業農村開発省)によると、新型コロナの影響にもかかわらず、2021年のエビの収穫量は97万トンに達し、前年比4.3%増となった。
ベトナムのエビ輸出はほとんどの市場で増加し、輸出高は2020年比4%増の39億ドル(約4500億円)に達した。
特に、米国とEU市場への輸出は躍進を遂げ、11月末までに、米国へのエビ輸出額は9億8350万ドル(約1130億円)に達し、前年比22%増となった。
同時に、EU向けは16%増の5億4800万ドル(約630億円)に達し、輸出総額の15.4%を占めた。
ベトナム水産物輸出・生産者協会(VASEP/ Vietnam Association of Seafood Exporters and Producers)によると、新型コロナが抑制され米国とEUの市場が復活し、さらに自由貿易協定(FTA)の恩恵を受ければ、ベトナムのエビ加工企業は輸出を拡大する絶好の機会をつかむことができるだろうとしている。
現在、ベトナムのエビの5大市場は、米国、日本、EU、中国、韓国であり、エビ輸出額の80〜85%を占めている。VASEPは、2022年にはエビの輸出が約10%増加し、輸出高が43億ドルに達すると予測している。
ソクチャン省産業貿易局は、2021年のソクチャン(Soc Trang)のエビ輸出高が10億ドル(約1150億円)を超え、2020年と比較して約23%増加したと述べた。同省は2年連続でエビの輸出高で全国トップになっている。
エビ輸出量全体の種類の割合は、成長が早いホワイトレッグシュリンプが大きい。一方、ブラックタイガーの輸出は32.6%から15.4%に減少している。
弱点が明らかに
農林産物品質管理局(農業農村開発省)によると、エビの養殖過程で禁止薬品や抗生物質の使用が発覚しているという。
その結果、2021年に化学物質、抗生物質、重金属の残留または病原性微生物への感染で警告された。
Minh Phu Seafood Corporationのゼネラルディレクターは、過去20年間、目覚ましい成果を達成したにもかかわらず、急速な発展により、環境と社会への悪影響が発生したと指摘している。
メコンデルタではエビの養殖が発展し、エビの生産コストが高くなり世界的競争力が低下している。
エクアドルでは、エビの養殖面積は25万ヘクタールに過ぎないが、生産量は74万ヘクタールのベトナムに匹敵するという。その生産コストはベトナムの1/2〜1/3に過ぎない。
インドの場合、2021年のエビ生産量は70万トンと推定され、そのエビ養殖の生産コストは、ベトナムの2~3割程度である。
ベトナムのエビ産業は世界有数の加工技術を持ち、高級品やインスタント品など高付加価値製品も多いため、エビの輸出は今でも好成績を収めている。
しかし、このベトナムのエビ輸出の優位性は、今後3〜5年で徐々に失われていくだろうと考えられる。
2015年以前、ベトナムは世界最大のエビ輸出国だったが、2015年以降のインドと2018年以降のエクアドルの躍進により、ベトナムのエビ輸出は3位まで押し下げられた。
世界1位への返り咲きに向けた変化
2017年に農業農村開発省が定めた計画によると、2021-2025年の期間に、ベトナムは組織的かつ体系的な生産を行い、インフラと技術サービスを効果的かつ持続的に投資したハイテクエビ産業と大規模生態養殖をさせる。
これにより輸出総額は100億ドル(約1兆1530億円)、平均成長率は12-14%/年、汽水エビ養殖面積は合計75万ヘクタール、生産量は110万トンになるとされ、ベトナムのエビ輸出は世界一の座に返り咲くとみている。
農業・農村開発省の副大臣によると、ベトナムは16の自由貿易協定(FTA)に加盟しているため、サプライチェーンと原産地のトレーサビリティを確保するために生産組織の能力を向上させるチャンスだとしている。
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