国際的な広がりをみせるベトナムの曲

ラッパーファオ(Phao)によるヒット曲「2 Phut Hon」が、アメリカ、中国、韓国のSNSユーザーの間で話題となっている。

韓国ではバレーボール選手がこの曲に合わせて踊る映像が130万回以上再生された後、多くの在韓ベトナム人がショートビデオプラットフォームTikTokでBGMとして使用された。さらに韓国の女性アイドルグループaespa(エスパ)をはじめ、多くの韓国人もこの曲に合わせて踊る姿を投稿している。

中国版TikTokであるDouyin(抖音/ドウイン)では有名人を含む数十万人のユーザーが踊る動画を投稿し、数十億回の再生回数を記録している。

米国でも旋風を巻き起こしている。5月に行われたバスケットボールの試合で同曲が流れたことをきっかけに米国ビルボードの世界デジタルソングセールスチャートでトップ12に入った。

この曲は世界中で注目を集め、昨年12月には音楽検索アプリShazam(シャザム)において世界で最も検索された曲トップとなり、3月には世界的な音楽ストリーミングプラットフォームSpotify(スポティファイ)で最もストリーミングされたベトナムの曲となった。

また、「2 Phut Hon」のリミックスを制作した地元のDJ/プロデューサーKAIZ氏がリミックス曲のミュージックビデオに腰を振る印象的なダンスを盛り込んだことも人気に拍車をかけた。

音楽プロデューサーのカック・フン氏(Khac Hung)は、このような世界的ヒットの背景を次のように分析する。地元の同業者は聴衆を喜ばせるための簡単な曲作り方法を次々と取り入れている。彼らが西欧諸国から作曲や制作のスタイルを学び実践することで、多くのベトナムの曲は国際的な好みに合うようになっていった。

アメリカのオンライン音楽誌「Pitchfork」は、今月初めに掲載した記事の中で、ベトナム発のバイラルヒット(Viral Hit)のほとんどがVinahouse(ビーナハウス/ベトナムのダンスシーンでの独特な音)であると指摘している。Vinahouseはユーロダンスに似たEDMリミックスで、ベトナムのクラブでは避けて通れない存在となっている。このようなベトナム独自の音が国際的に認知されつつあるという。

ほかのジャンルでは、ポップスやR&Bの影響を受けているクアン・フン氏(Quang Hung MasterD)による「De Den De Di」はキャッチーなコーラスが印象的で人気を集め、歌詞の合間に挟まれるメロディックなフレーズが聴衆を惹きつけているChilliesの「Cu Chill Thoi」は音楽検索アプリShazam(シャザム)で最も人気のある200曲のリストに入っている。

中国の人気メッセンジャーアプリQQは、ユニークで記憶に残るメロディーと踊りたくなるリズムと振り付けがベトナムの曲の魅力であると述べている。

Phao - 2 Phut Hon
Phao - 2 Phut Hon(KAIZ Remix)
Quang Hung MasterD - De Den De Di
Chillies - Cu Chill Thoi