デング熱を抑制する蚊

投稿: KilalaMar 29, 2022

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カプセルに入ったボルバキア感染の蚊の卵を放つ ⓒ Tuoi Tre

デング熱の制御と予防に役立てるため、ボルバキアに感染させた蚊の卵を放つ計画が開始された。

ホーチミン市パスツール研究所によると、ボルバキアとはショウジョウバエ、チョウ、トンボなどの一般的な昆虫を含む約60%の昆虫に対する天然の病原体であるという。
ボルバキアは蚊に害をもたらさないが、蚊の体内のデングウイルスが入り込むのと同じ場所に長くとどまり、デングウイルスの増殖を抑えることができる。

この計画は、World Mosquito Program(WMP)のベトナム南部におけるボルバキアプロジェクトの一環として、ホーチミン市パスツール研究所と共同で行っている。 

ティエンザン省ミトー市の8つの区とビンズン省トゥダウモット市全域の2800カ所で行われる。

このプロジェクトの仕組みは次のようになっている。
ボルバキアに感染させた蚊の卵約400個をカプセルに入れ、それを水の入った容器に入れる。
卵はやがて孵化しその地域の蚊と交尾し感染を広げていく。
2週間ごとにカプセルを水の入った容器に入れる作業を20週間ほど続け、ボルバキアに感染した蚊が十分に生息できるようになったら約1年間様子を観察し、プロジェクトの成果を評価する。

ボルバキアは宿主の繁殖力を調整し、自らを確実に次世代の蚊へと引き継がせる。
つまり、いったんボルバキアが蚊の体に入れば長期にわたってとどまり、デング熱の感染を防ぎ続けることになる。

オーストラリアのモナシュ大学の研究者によると、共生細菌であるボルバキアに感染したアカイエカは、デングウイルスに感染するのを一部または完全に阻止すると同時に寿命を縮めることが証明されている。

ⓒ VnExpress

ⓒ VnExpress

ティエンザン省のデング熱患者数および死亡者数は近年減少しているが、一年を通じて患者が発見されている。
2019年、同省は6,000人以上のデング熱患者と3人の死者がでた。2020年には3,200人、昨年は1,600人の感染者と1人の死亡者がでている。

ベトナムでは毎年平均で約9万人のデング熱患者が記録されており、その70%が南部地域で発生している。

〈Tuoi Tre/VnExpress〉
※これらのニュースは各ソースを参考に記事を編集・制作しています。

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