non-noってこんな雑誌です
non-noの編集長に聞く
Kawaiiとファッション誌がめざすもの
———女子大生向けファッション誌の編集長が男性であることに、少し驚きました。今までどんな雑誌を担当されてきたのですか。
1988年に新卒で集英社に入社しました。30歳までMORE(20代女性向けのファッション誌)、そのあとはずっとnon-noです。non-noには今男性が3名いて、女性誌の編集部としては男性が多い方ですね。元々女性誌を志望していたわけではなく、スポーツ選手の密着インタビューなどをやりたかったのですが、入社試験の最終面接で、「料理が好き」と言ったことや、non-noの元編集長と同じプロ野球チームが好きだったことなど色々縁があり、女性誌に配属されたんじゃないかと思います(笑)30歳でnon-noに異動しましたが、編集長になったのは40代後半になってからですね。non-noの編集長は半数以上が男性が務めているんです。
———雑誌のテーマやトレンドのセレクトは、どのように行うのですか。
シーズンの3カ月くらい前に、各ブランドの新作展示会が行われるので、編集部で出かけて流行りそうな色、素材、テイストを見に行きます。non-no読者が好きそうなブランドには全員で行きますよ。そのあと会議を開き、「これが絶対に流行ると思います!」などと編集者各自がプレゼンテーションします。それを副編集長がまとめ、僕が最終的な台割りを決めます。僕も展示会に行きますが、読者の年齢に近いスタッフの意見を尊重したいので、「ブランドの人はこっちが流行るって言ってましたけど、絶対こっちですよ!」というのがあれば、そちらを優先したりします。
———non-noのKawaiiとは?
やりすぎない。他の女友達からの「似合ってるね」が一番の褒め言葉になるような。決して「すごいおしゃれ!」とか、とんがっているわけではない。「モテる」というコピーを使うことが多いですが、どちらかというと女の子から「モテる」という意味合いが強い。あまり男の子受けを狙うと、アンケートなどで読者さんから「そんなに男子にモテることは必要ないです!」とお叱りのコメントがくるんです。non-noの読者は昔から、「自分のため」におしゃれをする人が多い。男の子からどう思われるかではなく、女の子目線の「Kawaii」です。編集スタッフも、撮影前に自分で着てみてるみたい。着てみて「これじゃ甘めすぎて恥ずかしいな・・」と気づいたりする。水着なんかも試着しているみたいですよ。読者目線を大切にしています。
———日本のファッション誌と海外のファッション誌の違いは何でしょうか。
日本の雑誌は、各ブランドが紹介したいアイテムを、「さてどうする?」と提案までしているところが違うのだと思います。海外の雑誌は、アイテムを並べて紹介しているだけのことが多い。日本だと、1着で10通りのコーディネートができるとか、アプリで着まわしができるとか、どんどん情報のハードルが上がってきている。若い人の雑誌ほど、より実用的な面が大事にされていると思うので、少しでも情報量を増やしてあげたいと思っています。
———世界に日本のKawaiiが浸透していくことについて、どんな風にお考えですか。
日本の女の子って、やっぱりおしゃれのレベルが高い。配色やシルエットなど、自分の体型や肌の色、髪の色をよくわかった上で決めている。それで原宿あたりにきた外国人がその子たちを見て「かわいい!」と思うんだと思います。そのおしゃれな子たちを、僕たちファッション誌はサポートしていく使命があるんです。海外の人にとっても、とくにアジアの国の人々は、これからますます発展するにつれて、どんどんおしゃれを楽しめるようになってゆくはずです。たとえば日本に「ORientalTRaffic」という靴のブランドがあるのですが、合成皮革を使っていてとても手ごろな価格で買える上に、かわいくて種類がたくさんある。唯一海外出店している中国で、今とても人気です。日本の店舗だともっと安く買えるので、旅行に来た中国人が買っていくんですよね。こんな風に、「日本ではこれを買えばいいんだ!」という情報をどんどん発信していきたいと思っています。
———最後に、ベトナムのKilala読者に向けて、メッセージをお願いします。
おしゃれを楽しもうとする気持ちは万国共通。non-no vnのFBなどを通して日本のKawaiiをどんどん発信していくので、ぜひ参考にしてください。近々、ベトナムでファッションイベントをやる予定もありますので、ぜひ見に来てくださいね!
ここが、non-noを作っている編集部!撮影の時期は、ファッションアイテムであふれるそうです