素粒子物理学の博士であるカオ・ヴァン・ソン氏(Cao Van Son)は、ニュートリノ(電荷を持たない素粒子)からの低光を測定するために、マルチピクセル化したフォトンカウンティング(光子計測)を開発した。
さらにソン博士は日本とカナダの科学者グループと協力して、日本原子力研究開発機構 J-PARCセンターで強力な陽子ビームを正確に測定できる蛍光分光計の開発を続けた。
これによってポジトロン断層法(陽電子検出を利用したコンピューター断層撮影技術)の医療診断、量子コンピューティングの開発、化学物質使わずに食品検査などに貢献できるという。
今年、ソン博士の研究チームは、東南アジアで唯一、岐阜県飛騨市にある世界最大の地下ニュートリノ観測装置スーパーカミオカンデの実験に参加した。
太陽ニュートリノ、大気ニュートリノ、人工ニュートリノなどの観測を通じて、ニュートリノの性質の全容を解明することを目的とした実験は、東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設を中心に、日本、アメリカ、韓国、中国、ポーランド、スペイン、カナダ、イギリス、イタリア、フランスの約40の大学や研究機関との共同研究で行われている。
ソン博士は今までアメリカと日本で研究できたことに対し、「私はただ轍に従うのではなく、何か新しいことを学ぶのが好きです。私は成功の明確な概念を持っていません。今までの学びと経験が自分自身を成長させてくれたことに感謝しています」と述べている。
さらに「世界の著名な科学者と会う機会が持てたのは幸運でした。特に2015年のノーベル物理学賞を受賞した日本の科学者である梶田隆章博士と会った時には本物の科学者の謙虚さに感心しました」と話した。
近い将来、ソン博士は国際的な実験への参加と国内の研究グループ間の協力が、ハードウェアの開発とベトナムで働く学生の発展に役立つことを望んでいるという。
ソン博士は2014年に米国オースティンのテキサス大学で素粒子物理学の博士号を取得した後、岡山大学に移り、2016年から今年の半ばまで京都大学、そして日本の高エネルギー加速器研究機構(KEK)で働いた。
2017年には長基線ニュートリノ実験T2K(Tokai to Kamioka)に参加した。研究結果は科学雑誌Natureに掲載され世界の科学出版物のトップ10の1つになった。また、2020年のベトナムの優れた科学技術イベント10のひとつとして認識されている。
現在はクイニョンの国際科学教育センター(ICISE/International Centre for Interdisciplinary Science and Education)に所属する学際的科学教育研究所(IFIRSE/ Institute For Interdisciplinary Research in Science and Education)で研究者として働いている。
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