脳卒中の専門分野で優れた業績を上げ、地域社会への貢献を認められたグエン・フイ・タン准教授(Nguyen Huy Thang)は、世界脳卒中機構(WSO/ World Stroke Organization)の脳卒中の専門分野で優れた業績を残した6人に選ばれた。
ベトナムの脳卒中治療の分野におけるリーダーの一人で、現在、ベトナム脳卒中協会の副会長、ホーチミン市脳卒中協会の会長、115人民病院(ホーチミン市)の脳血管病理学部長を務める。
「これは私にとって大きな名誉であると同時に、脳卒中の専門分野とベトナムでの健康への取り組みに対する世界の認識を示しています」とタン准教授は述べた。
15年前、115人民病院にベトナム初の脳卒中治療センターが設立された。
その当時、タン准教授はシンガポール国立大学で1年間勉強し、静脈内血栓溶解薬の使用で命を救う成功例を多く目撃していた。この分野の重要性を目の当たりにし、2007年、37歳の時さらに米国で学ぶために土地を売却し学費に充てた。
帰国後は米国から脳卒中治療の血管内介入療法をベトナムに持ち込み、2008年に最初の症例を実施し、さらに世界で使用されている最先端の技術を徐々に習得していった。
脳卒中の発症から4.5時間以内が有効とされる静脈内血栓溶解療法に加え、介入器具を使用して血栓を除去し、ステントを配置して健康を回復させることで有効時間を6〜8時間に延長した。最近はRAPIDソフトウェア(人工知能アプリケーション)の助けを借りて、脳を救う時間は最大24時間になる可能性もでてきた。
この病気は発症からの治療を開始するまでの時間が、回復できるかどうかを大きく左右する。
そのため、脳卒中治療の全国的なネットワークが必要であり、 2017年から多くの国で脳卒中治療ネットワークの開発、トレーニングコースの設定、世界脳卒中機構の公式文書の提供を目的としたプログラムを発足している。
現在、ベトナムには100以上の脳卒中治療センターがあり、治療の質はますます向上し多くの患者の生活を復活させることに貢献している。
今年、115人民病院は世界脳卒中機構から脳卒中治療のダイヤモンドステータス認証を取得したベトナム初の医療施設となった。
同病院は常に世界標準に従って治療の標準化に努め、患者に最速で最高の治療を受けることができるように常にプロセスを改善している。 2019年には、患者が病院に運ばれてから治療されるまでの平均時間は43分だったが、2020年までに36分に短縮されている。
以前は脳卒中の患者を無力に受け入れるだけしかできなかったが、近年、115人民病院は毎年2万人以上の脳卒中患者を受け入れており、これは全国の脳卒中患者全体の1/10を占めている。
ベトナム脳卒中協会の副会長は、今後の課題として脳卒中治療センターは24時間の救急医療を維持する必要があり、医師やスタッフの育成に取り組まなくてはならない。さらに、施設の設備の充実化を図らなくてはいけないという。
タン准教授は、全国の治療センターの質は速いスピードで向上しているが、ほとんどの省は1つの治療センターしかなく十分ではありません。脳卒中患者が最速かつ最良の治療に受けられるように、より専門的な施設を拡張するために努力を続けていますと熱意を語る。
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