1.アルバイトガイダンス
2019年6月に長崎短期大学、長崎大学の二会場で、留学生向けのアルバイトガイダンスを実施した。ミャンマー、韓国、ベトナム、中国、フィリピンなどからの留学生が参加した。
参加者のほとんどは日本でのアルバイトの経験はないとのこと。アルバイトを探す前の注意点から始めた。参加者はすでに所属大学のオリエンテーションで週28時間の就労時間制限や留学生が禁止されている職種などは知っており、留学生が就労できる資格外活動許可についても知っていた。アルバイトを探す方法は①大学の掲示板、②コンビニなどで配布されているアルバイト情報誌、③店舗に掲示されている求人、④先輩などからの紹介などがあることを説明した。また、いずれの場合も勉学に支障がないか、通勤するに無理がないか、交通費が支給されるかをしっかり確認するように伝えた。特に、時給が高い場合は交通費を含んでいる場合があるので、確認をして応募するように注意を促した。
また、求人への電話の方法、面接時のマナーについては動画を見て確認した。面接時の服装については、清潔感のある服を着て面接に臨むようにアドバイスした。
2.留学生人財活用セミナー
長崎県下の留学生採用についてのセミナーを企業の方々を対象として実施した。
日時2019年12月9日
対象留学生の採用に関心がある企業、関係団体、行政機関等
参加者37企業・団体 合計57名
主催長崎留学生支援センター、共催 長崎インターンシップ推進協議会
プログラム
Ⅰ部 長崎県内の留学生の現況報告
Ⅱ部 留学生の就職現状及び元留学生の体験談発表
Ⅲ部 留学生の就職活動について
Ⅳ部 高度外国人材の採用・育成・定着について
Ⅴ部 留学生を雇用するにあたっての条件について
Ⅰ部 最初に長崎県内の留学生の現況報告について長崎留学生支援センターより、留学生の就職状況や留学の背景、キャリア設計などについて説明した。
Ⅱ部 長崎企業に内定した留学生と既に働いている元留学生が自身の就職活動を通して感じたことや実際に就職後に企業で働いてみて感じたこと、それらの体験を通しての企業への提言などを話した。3月に卒業予定の留学生は長崎の企業に内定をもらっており、現在、4月からの就職のための準備をしている。就職活動で体験した苦労と不安について話をした。自分自身の力だけでは企業の情報や就職のための知識に限界があり、最終的にはヤングハローワーク長崎を訪ねて、助言をもらって内定が決まったとのことだった。
長崎県内のIT企業で働いている元中国人留学生は母国の就職活動との違いについて話をした。日本の就職活動は手順が多く、決定するまでに時間がかかることが中国からの留学生にとっては違和感があるということだった。留学生が企業に求めることは、自分自身のキャリア形成の機会があるか、研修が施されるか、働きやすい環境であるか、外国人に対する配慮があるか、異文化を尊重されているかなどをあげた。また、企業へは留学生の能力を日本語能力だけで判断しないようにとのお願いをした。
Ⅲ部 留学生の就職活動について
ヤングハローワーク長崎から留学生の就職活動への支援の状況について紹介があった。ヤングハローワーク長崎(長崎公共職業安定所―厚生労働省の公的機関)に留学生コーナーを開設して、3年目である。留学生の就職数が毎年増えてきており、今年10月の時点ですでにと昨年度を上回った実績があり、開設の成果は少しずつみえてきているとの報告があった。
Ⅳ部 高度外国人材の採用・育成・定着について
高度外国人材の採用・育成・定着について外国人材の採用支援するコンサルタント会社代表取締役が講演した。外国人留学生を採用にあたって、留学生の声を企業へ紹介し、採用の基準や試験内容などについてもアドバイスをした。また入社後の企業内の受入れ体制やその後の定着についても具体的な例を交えながら紹介した。
Ⅴ部 留学生を雇用するにあたっての条件について
留学生を雇用するに諸条件について、ヤングハローワーク長崎のアドバイザーの行政書士が紹介した。留学生と企業の就労資格取得のための条件等について説明し、技術・国際人文知識に加えて、新たに設けられた就労のための在留資格「特定活動(46号)」について紹介した。
3.ビジネス日本語セミナー
日時2019年12月長崎大学、2020年1月長崎短期大学で留学生向けのビジネス日本語セミナーを開催した。
会場:長崎大学
-就職活動の情報収集の方法
-電話の仕方、メールのやり取り、履歴書の書き方等
-面接の注意事項 (態度、身だしなみ、服装、言葉遣いなど)
-具体例から、社会人マナー、企業文化、チームワーク、調和性、人付き合いについて、学ぶ
-グループディスカッション(『ビジネスコミュニケーションのためのケース学習』を使用)
報告:
最初に希望職種を含めた自己紹介をさせ、PPTを使用して、日本で就職するにあたっての心構え、就職情報をどのようにして集めるのか、電話のかけかた、ビジネスで使う日本語(敬語含む)、就職活動で使うメールの設定方法を説明。また、エントリーシートや履歴書の書き方、実際に就職面接で行われる面接の種類の説明もした。
2日目はグループディスカッションを2グループ(4名2グループ)に分かれ行った。活発に意見交換を行い、日本の企業風土と本国の企業風土の違いが理解できたようである。また、就職面接の良い練習になったのではないかと思う。
会場:長崎短期大学
対象学生韓国、中国、ミャンマー、フィリピンなどの4か国16名
非漢字圏の学生を多く含むセミナーということであったので、受講生たちが授業中に確認しやすく、あとで復習できるように授業内容をまとめたものを資料として配布した。初級で非漢字圏出身が多いクラス構成のため、資料の漢字すべてに振り仮名をふったものを作成した。
報告:
1.日本の会社でのビジネスマナー10か条
日本で働くのに重要な事項を10項目にまとめ10か条とした。時間厳守、報連相(報告・連絡・相談)など会社で働くのに必須な言葉を盛り込んだ。また、外国人にとってわかりにくい会社でのマナーや上司、先輩への礼儀、身だしなみ、チームワークなどについて、適宜絵カードなどを使い丁寧に説明し、また理解できたか確認するため、受講生に質問し重要事項をまとめさせた。
2.自己紹介(ロールプレイ)
非漢字圏の名前は長く日本人には聞きなれないので、あだ名等このように呼んでくださいと言わせるようにした。「○○と申します。○○から参りました。ご迷惑をおかけする。よろしくご指導ください。」など、改まった表現を教え、全員に自己紹介させた。お辞儀について不慣れな者も多く、お辞儀の角度や手の位置、話し終えてからお辞儀するようにする等の指導も行った。
3.電話のかけ方・受け方
電話でよく使う言い回しや、話す順番について。電話応対は外国人にとっては耳慣れない言葉も多く、まず電話での名乗り方や切り方もわからない場合が多いために取り上げた。
電話のかけ方・受け方の会話をフローチャートにまとめたものを配布資料として用い、電話の架け手と受け手でペアワークを行った。
所感
全体的に真面目で熱心であり、質問すると内容もよく理解できていた。配布資料が手元にあったのも確認しやすかった要因のように思われる。既にアルバイトしている生徒も多いのか15分前に会社に着く理由として、着替えや申し送りについても理解できているようだった。
90分という限られた時間の中では、ビジネス日本語の導入しかできなかったが、違う国の企業文化に触れるという点では有意義であったのではないかと思われる。
4 「NAGASAKIしごとみらい博」へ留学生も参加しました。
長崎の様々な企業や自治体の魅力を体感できる長崎県内最大級の地元企業と学生の交流会「NAGASAKI しごとみらい博」がさる2019年12月7日に長崎県庁で開催された。
従来の企業説明会とは異なり、学生が実行委員として企画や運営に関わることで、さらにイベントを盛り上げた。企業の出展ブースのほかにも、企業体験コーナー、ミニセミナー、インターンシップコーナーなどが行われ、長崎留学生支援センターも企業、留学生を対象とした就職活動セミナーを開催し、相談コーナーを設けた。
今回のイベントは長崎県、長崎市、佐世保市などの地方自治体、長崎労働局、地域活性化のため諸団体、学生実行委員会などで構成した実行委員会が主催した。
長崎県内の企業110社が参加をし、大学生を中心1035名が参加しました。留学生は県内7大学103名の参加があった。事前に参加企業に対して留学生についてのアンケートを取り、参加企業110社のうち63社が留学生に関心があるとの回答を得ていた。当日の参加した留学生は長崎留学生支援センターが実施した就職セミナーに参加し、会場内の各企業ブースを訪れて企業の業務内容、留学生の就職などについて積極的に日本語で尋ねていた。留学生の皆さんが長崎県内の企業を理解し、対応いただいた企業の皆さんが留学生と自由に話ができたことが大きな収穫だった。
kilala.vn