ハノイの国際交流基金ベトナム日本文化交流センターで開催されている「Câu Chuyện Phương Đông (The Oriental Tale)」という展覧会は、ベトナム人アーティストで講師のチィウ・カック・ティエン(Trieu kac Tien)によるもので漆絵を通してベトナムと日本の漆文化のつながりを伝えている。
展示作品は両国の繊細で特殊な漆絵の技法の片鱗を見せ、互いに影響し合い1つの美しい作品に仕上かっていることを示している。
さらに、東京藝術大学で日本の伝統的な漆を専攻したティエンさんが漆に情熱を傾ける巨匠や画家たちの足跡をたどりながら、厳しい作品作りの過程で進化を続けてきたことが分かる展示となっている。
作品「東方見聞録1」は、東京藝術大学の博士課程を修了した際に制作したもので、漆の技法である「研ぎ出し蒔絵」「立漆」「白漆」と日本の天然漆を使い、着物を着た芸者に豪華な宝飾品を身につけさせた作品である。
「東洋の物語」という作品は、ベトナムと日本という2つの長い歴史を持つ漆文化の交流に浸ることができた幸運な機会に対する彼の考察を表している。
ティエンさんは「私にとって漆は、常にユニークな驚きの要素を含むパワフルな視覚的言語です。漆は厳格な描画プロセスと塗料を塗る研磨プロセスの即興性、そして抽象的なものと具体的なものの組み合わせでできています。銀や金の神秘的な輝きを背景にしたイリュージョンのようなものです」と話す。
展示会の管理責任者は、この展覧会は彼が日本の伝統的な漆の技法とベトナムの高品質な漆素材を融合させるために、熱心に研究し実験してきたことの集大成と言えるでしょう。同時に職人として要求される洗練された細部へのこだわりと、アーティストとしての新しい視覚的表現力を融合させようとする近年の作品における新たなステップを示すものでもあるのですと評する。
東京大学名誉教授で前漆芸部長の三田村有恒氏は、この展覧会はベトナム人だけでなく、海外からの訪問者の注目を集める画期的なものです。ティエンさんはベトナムと日本の漆文化を融合させることに長けていますと話す。
この展覧会は4月22日まで、国際交流基金ベトナム日本文化交流センターで毎日午前9時から午後6時まで開催されている。30点の漆絵と画材の一部を展示している。
現在、ティエンさんはベトナム美術大学絵画科副学科長。2017年に東京藝術大学にて漆芸の博士号を取得。韓国、ドバイ万博、台湾、中国本土で展覧会を開催している。
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